奈良市北端の街びらきから約50年が経過した平城・相楽ニュータウンにあり、小規模校として運用されてきた奈良市立右京小学校と神功小学校を統合再編し、平城西中学校と一体化した新たな施設一体型小中一貫校「ならやま小中学校」として整備しました。平城西中学校の敷地内に小学校校舎と体育館を新設し、既存の中学校校舎は大規模改修を行い、2022年4月に開校しました。
計画では児童・生徒とのワークショップや保護者、近隣住民との対話を通じ、新しい学校に対する思いや、現状の学校空間に対する悩みを知り、建築で解決できる課題を整理し具現化していきました。
クラスルームは机や教科書の大型化、子供たちの荷物の多さに対応する9×8mスパンのゆとりある教室で様々な学習に対応する環境を整え、トイレに行くのを恥ずかしく思う子供たちの気持ちを考え、明るく清潔でリラックスできるようトイレの形状や出入口のレイアウト、色彩など、子どもたちの思いと生活行為を大切にした空間にしています。
子ども達や保護者の感心が高い図書エリアは学校の中心と捉え、昇降口と小中学校が共に利用する図書メディアセンターが入る楕円形状の特徴的な建物を校舎の中央に配置しました。図書メディアセンターは天井が高く仕切りの無いオープンな空間とモダンな色調で学校の特別な場所として印象付けています。校舎動線の中心にある仕切りのないゆったりとした空間は、『いつでも。誰でも。じっくりと本を選ぶ。自由なスタイルで本を読む。小学生が中学生向けの本に挑戦する』など、本に親しみ身近に感じる工夫をしています。
ならやま小中学校では、学校では学べない知識や情報、技術を子供たちに伝える人を地域から募り“ならやまマイスター”として、地域の方々が積極的に子供たちと関わる制度を取入れています。フレキシブルに活用できるフリースペースや中庭が、このような体験学習やグループ学習など多様な学びを可能にし、地域と共にある学校づくり、積極的な地域参画を促す、活き活きとした学校となっています。
所在地:奈良県奈良市
主な用途:小学校・中学校(施設一体型小中一貫校)
構造:RC造
階数:増築棟 地上3階、改修棟 地上4階
延べ面積:12,200㎡