小岩第二中学校は、昭和22年の開校以来、地域の輪を大切に地域と共助の精神で育ってきた中学校です。敷地の周辺は魅力的な街並みを形成して、落ち着いた中にも活気のある地域となっています。この地域の持つ魅力を取り込み、心地よい関係を築いて、地域の持つ力を存分に活かせる中学校となるように計画を行いました。
改築に際しては、小学校と保育園からも近い柴又街道と北西道路の交差点に面して新たに正門を設けて、広場(二中プラザ)を配置しました。その広場を囲むように校舎を配置し、地域にしっかりと学校が顔を出して、みんなが集まれる広場のある中学校を実現しました。また、柴又街道から北西道路に面する部分に形成されていた「文学の小径」と呼ばれる植栽帯を緑に囲まれた安全な散策路として再生し、地域に開かれた新しい景観を生み出しました。
住宅地に面する校舎棟は単調で大きな壁面とならないよう、ボリュームを分節化して表情に変化をつけ、グラウンド側は日射抑制に配慮してグリッド状の庇で構成しています。交通量の多い柴又街道に面する屋内運動場棟は、RC打ち放しの列柱により力強く存在感のあるデザインとしました。外観はカラードグレーをメインに構成し、周辺の景観に調和する落ち着きのある色彩計画としています。東西両側に大きな窓を設けた屋内運動場や、折れ戸を開け放つことでテラスと一体的に繋がる渡り廊下など、開口部の配置やデザインを工夫することで学校の様子が地域にあふれ出す計画としています。
教室エリアの中心には活動の拠点となるオープンな「学年スペース」を配置しています。それに加えて、教室の間に「自習談話コーナー」や「コモンスペース」等の小スペースを設けて、様々な居場所づくりを行いました。これにより建物の南側と北側が共用部でつながり、明るくのびやかで広がりを感じられる共用空間を生み出しています。内装の天井や壁は多摩産材を用いて積極的に木質化を行い、柔らかくて温もりが感じられる空間づくりを行いました。また、校地内に生えていた既存樹木を家具に加工して再利用することで旧校舎の思い出を新校舎へ継承しました。
地域とのつながりをより深め、皆様から親しまれ、地域と共に育まれる中学校の実現を目指しました。
東京都:江戸川区
主な用途:中学校
構造:RC造
階数:地上5階
延床面積:9,473m2