青山学院中等部は既存校舎を利用しながら、同一敷地内に新校舎を建設する計画で進められました。改築する校舎は教科センター方式を採用することが決定しており、新しい中等部を創り出すために、学院・教職員とも打合せを重ね、関係者一丸となって計画を進めました。その中で新しい中等部を創り出すことのために、4つの設計テーマを考えました。
【中等部の顔を創る】
青山学院のキャンパスの主要な建物にはそれぞれ特徴のある顔が立ち並びます。中等部にもキャンパスの一員として、これまでの記憶を大切にし、改築前と同様に敷地北側をメインアプローチとしました。中等部専用のゲート、迎え入れる広場、そして正面の3本の石柱が中等部の新しい顔となる計画としています。
【背骨を創る 中心を創る】
門から広場・ホール・大階段・グラウンドとつながる新校舎の軸線(背骨)をつくることでホールと一体となった使いやすく、楽しみの詰まった学び舎としています。ホールを中心に、礼拝堂、メディアセンター、グラウンド等へ、生徒たちが移動する楽しさを実感できる空間づくりを目指しました。
【3つのレベルを最大限利用する】
中等部の敷地は東側道路、広場、グラウンドと3つの主要なレベルが存在します。それを最大限生かし、通風や採光をしっかりと確保したうえで、旧校舎の2倍以上の面積を生み出しています。また、3つのレベル全てを避難階とすることで、災害時の安全に配慮した計画となっています。
【豊かな空間を創る】
1階には、トップライトからの光が降り注ぐ2層吹き抜けの大きなホールを設け、学校内を移動する際、だれもが通る出会いの場、生徒たちの自発的な表現の場となります。3階から6階の学習空間は、学年のまとまりと各教科のまとまりを持つ計画としています。1学年を1フロアにまとめ、学年ラウンジを備えることで学年のまとまりを作りました。各教科をメディアスペース・教師ステーション(準備室)で一つのまとまりを作りました。メディアススペースの吹き抜けと専用の階段によって移動することの楽しさを感じたり、異学年交流を高める場となることを期待しています。
1階ホールと広場に面して、大きな吹き抜けを持つ2層のメディアセンターを配置しています。本の木立をイメージした天井まで連なる壁面書架を設え、生徒たちの学習意欲が高まる豊かな空間としています。また、ICT教室を隣接させ高度なICTに対応することで、様々な授業や催し物等にも活用できる計画となっています。
中等部に初めてできた礼拝堂は、広場と東側道路に面して配置しました。大地から力強く立ち上がるイメージとし、アースカラーのレンガを用い、豊かな表情の外観を目指しました。内部は外装と同じレンガと木製リブの壁面で構成し、正面のステンドグラス、パイプオルガン、両サイドの窓から入り込む光が一体となり、柔らかな雰囲気の空間として設えています。
東京都:渋谷区
主な用途:中学校
構造:RC造
階数:地上6階/地下1階
延床面積:15,751m2