少子化現象に伴い豊島区では小学校の統廃合整備が進められ、旧千登世橋中学校跡地に高田・雑司谷・日出小の三校を統合した南池袋小学校が計画されました。この統合小学校は、従来の“画一的な教育の場”から、21世紀に向けて“多様な学習形態が可能な場”として再生するために取り組んだ、豊島区で最初のオープンシステムの運営形態を取り入れた小学校です。
計画地は、JR池袋駅から南東徒歩約10分のところにあり、鬼子母神、日蓮宗の古刹法明寺が隣接しています。敷地北側は、池袋の中心市街地の高層建物に、それ以外は閑静な住宅街に囲まれており、中央付近で約4.5m程高低差がつき、南側グラウンドが下がった位置にありました。元は法明寺境内の一部であった場所で、敷地内の築山には、古い石碑・戦災の焼跡を残す樹木など歴史を刻んだものが残っているため、それらを学習素材として、都心部の貴重な緑地として保存することが求められました。
<地域に親しまれる「コミュニティスクール」>
以前から近隣の人達が学校敷地内を南北に横断していたフットパスを敷地西側を迂回するルートで確保しています。最近、安全性確保という理由で地域と隔絶されがちな小学校を、このフットパスを残すことで普段から地域の住民に見守られる状況を作ると同時に、災害時の避難施設としての機能を十二分に発揮できるかたちをめざしています。東棟には地域開放ゾーンを集約し、多目的室・図書室・和室等の地域活動・生涯学習活動の拠点となる教室群を配置しています。また、フットパスに接して、この地域に多数棲息していたというミミズクの名を冠した資料館も併設しています。
東京都:豊島区
主な用途:小学校
構造:鉄筋コンクリート造
階数:地上3階 地下1階
建築面積:3,434m2
延床面積:6,6665m2
文教施設協会協会賞 先進的技術部門 受賞