彩都の丘学園は、箕面市が彩都ニュータウン西側の箕面市エリアに2011年4月に開校した、箕面市内で2校目(大阪府内でも2校目)の施設一体型小中一貫校です。
大阪モノレール彩都西駅の西に広がる彩都ニュータウン箕面地区は2011年3月に街開きが行なわれ最初に建設された公共施設が本校です。2019年6月には街の人口増加に伴い校舎の増築や新グラウンドの整備が完了しました。
彩都の丘学園は、彩都箕面地区内にあって、北摂地域から大阪市内まで一望できる眺望に恵まれたロケーションの中に位置していますが、敷地の周囲すべてが法面で形成されており敷地と前面道路が同一レベルで敷地にアクセスできる部分は東側の1点に限られていました。この1点から始まる毎日の子どもたちの活動を支えるため、東側の校舎エリアと西側の運動場を東西に結ぶ活動軸を都市に見立てて、スクールアベニューと名づけ、このスクールアベニューに沿って校舎棟、体育館、プール・部室棟を配置し、校舎や体育館の間には半屋外スペースとでも言うべきガレリアを設けています。
スクールアベニューに面した外壁の異なるテクスチャーの積み重ねやガレリアによる豊かな外部空間、昇降口や多目的室の吹抜け、行き止まりのないロの字の動線のなかでコーナーの色彩豊かな階段など、生活の場面を特徴づけるパサージュとしての空間は、子どもたちの通過点として記憶に残り、未来に向けて語り継がれる学校施設となることをめざしました。
クラスルームの前に学年をこえて繋がり連続するリニアーなオープンスペースは、異なる学年がともに活動し交流する場面に対応するためのものであり、特別教室についても、小・中共用、若しくは小・中の専用であっても隣接して配置し、常に異学年の子どもたちが交流できるように計画しています。
オープンスペースや廊下に設けたラーニングエリアは、その時々の教科の内容や具体物の展示、子どもたちの作品の展示などを通して、子どもたちがいろいろな教科のエッセンスに触れながら、教科への興味や関心を触発する仕掛けを組み込んでいます。
校舎は、中央に中庭を配置し、室内への風通しや日当りを確保するとともに、常に明るい光に包まれ、風を感じることのできる、パッシブ校舎を実現。中庭やオープンスペースなど、子どもたちの生活の場として、いろいろな過ごし方ができる心地よい空間・場所づくりを心がけ、眺望を活かした開放的で明るい空間とし、交流や発表の場として位置づけました。
トイレや水廻りなども交流や開放空間として捉え、明るく清潔なしつらえとし、子どもたちの一つ一つの生活行為を大切にした空間づくりをおこなっています。
校務センター(職員室)は小・中一体の職員室とし、従来の職員室から脱皮した教職員の快適なオフィスとして、学校運営のセンターとして整備、廊下から内部を見通すことができ、子どもたちが気軽に立ち寄れることができて、教師と子どもたちのコミュニケーションが図れるようなオープンな空間としています。
校地内での死角を極力なくして見通しを確保し、人の出入りのチェックや管理区域を明確にするなど、CPTED(環境設計による犯罪防止)の原則を取り入れ、施設配置をおこなっています。配置計画においては子どもの安全を第一に考え、セキュリティラインを設定し、守るべき領域を明確にし、学校を閉鎖的にすることなく自然な監視によって安全管理ができるような配慮をおこないました。
具体的には、来校者を警備員室で必ず取次ぐ空間構成とし、風除室をそのためのスペースとしています。来校者の駐車スペースや校地内の死角となる部分は門扉、フェンスなどで区画し安全管理の領域外とし、職員室、事務室、保健室や給食調理室など大人のいる場所を分散して配置することにより自然な監視ができるように計画をしました。
大阪府:箕面市
主な用途:小中一貫校
構造:鉄筋コンクリート造
階数:地上4階
延床面積:23,410m2