本施設は、自然と歴史的建造物との調和が美しい中之島景観形成地域内の中之島図書館の一角に位置しています。
昭和35年建設の中之島図書館付属商工資料館を神戸大学と関西大学の大学院サテライトとして再生しました。耐震診断を行い躯体のみを再利用し、内外装はすべてリニューアルしています。
野口孫市らの手による図書館本館及び南館、隣接する北館は重要文化財に指定されている明治・大正期の建築物、本施設南側の2号書庫も大正5年(1916年)竣工の歴史的建造物であり、東には岡田信一郎設計による、 日本を代表する様式建築である中央公会堂が近接しています。外観のデザインをするにあたり、景観上の調和を重要視し、街並みが連続するよう形態的な配慮をしています。
2階から上の上層部分は隣接する歴史的建物との調和を図り、軒蛇腹の付加、縦長の窓、柱型の強調などでクラシカルな雰囲気をかもし出すようにしています。
1階部分の外壁の仕上げは石調吹付を採用して本館等と調和させる一方で、メタリックなアルミパネルの庇やカーテンウォール、コーナー部をガラスにするなど、軽快で洗練された現代的な印象を与え、新たな風景を創り出すと同時に、図書館とは異なる機能を持つ建物であることを表現するよう意図しています。
内部は、高度人材育成を目指す大学院サテライト施設にふさわしく、シンプルかつ洗練され先進性あふれる、アカデミックなインテリアをイメージしています。白と黒を基調とする中にアクセントカラーをちりばめ、若々しい感覚を取り入れ、時代の先端をゆく、本施設の特性を表現しました。
主な用途:大学院サテライト
構造:鉄筋コンクリート造
階数:地上4階
建築面積:286m2
延床面積:807m2