本施設は、さいたま市営「思い出の里市営霊園」のほぼ中央に計画された立体納骨堂で、す。敷地の東側に広がる見沼田圃(たんぼ)は、首都近郊に残された数少ない大規模な緑地空間であり、さいたまの原風景とも言うべき田園風景となっています。敷地南側は、斜面林が帯状に残されています。
<計画の経緯>
1997(平成9)年度に霊園の墓所供給(17,000基)が終了しましたが、さらに立体墓所として本納骨堂が計画されました。
計画においては、学識経験者、地元関係者、行政機関関係者で構成する「検討委員会」において、議論・検討を重ね、規模、内容、配置や建物の構成等について決定しました。
<計画の理念>
訪れる人々が故人に思いを馳せる、精神的な空間にふさわしい場の創出をめざし、「尊厳・荘厳な環境」「この地・霊園のシンボル性」「時代への対応・先進性」が計画の理念として掲げられました。
<全体の構成>
墓所数は2,240基を建物内に納め、国内でも珍しい3段型納骨檀を屋外に設けています。
さらに、無縁墓を含む集合合葬墓を500基設け、全体で5,122基の納骨施設となっています。
<建物の意匠>
納骨堂の建物は集約、多層化した「立体墓地」となっていますが、周囲の平墓地と同じように季節の変化や時の流れが感じられるよう外壁は設けず、開放性を重視した追悼空間としています。また、カロートをスラブ下に納めることや床下に防水を設けることによって、お墓に水をかけることもでき、通常の墓所と同じような利用が可能です。
また、建物形態は周辺の見沼田圃と里山のイメージを生かし、なだらかな曲線屋根で覆い、のびやかさを表現するとともに、現在の霊園の軸線をその配置や形態で強調し、思い出の里全体のランドマークとなるよう計画しました。
主な用途: 納骨堂
構造: 鉄筋コンクリート造
階数: 地上3階
建築面積: 2,259m2
延床面積: 3,974m2
さいたま市景観賞 受賞
埼玉県彩の国さいたま景観賞奨励賞 受賞