小田中学校は、生徒数の減少および建物の老朽化により、小田南中学校と若草中学校が統合され開校しました。本計画では既存校舎を取り壊し、全面的に建替えを行いました。中学校の一新に伴い、多くの卒業生を輩出し、地域に馴染まれた学校の歴史を継承しつつ、地域に愛される学校づくりを目指しました。
敷地の周囲には、住宅密集地と中規模の工場があり、交通量の多い道路に囲まれています。登下校時の安全性を高めるため、歩道付きの西側道路側に正門とアプローチ広場を設けました。また、来客用車両は北門、サービス用車両は東門から進入する動線計画とし、生徒の生活動線と交差しないように歩車分離を徹底しました。
新校舎は敷地の南側にまとめ、プールを体育館の屋上に配置して、広いグラウンドを確保しました。アプローチ広場から繋がる昇降口は、吹抜けの多目的ホールと一体にして開放的な空間としました。旧若草中学校において、中庭が生徒の憩いの場となっていたことから、新しい学校でも生徒が集う場所をつくりたいと考え、校舎棟の中央に中庭を設けました。
外観は、マリオンと深いバルコニーが創り出すグリッド状の陰影により、規則的でリズミカルなデザインとしました。柱と梁はコンクリート化粧打放し仕上げとし、外壁に明色と暗色を効果的に使用することで、凹凸が創り出す視覚効果をさらに強調させました。
内部仕上げは、木目の見える壁材や床材を多く使用し、積極的に木質化を図りました。生徒たちが健やかに学校生活を過ごせるように配慮しました。
地域から防災拠点として整備の要望が強くあったため、災害に強い建物とすることはもちろん、屋上は、地域住民も避難可能なスペースとしました。40kw相当の太陽光発電設備は、災害時にも利用できます。また、玄関に発電量を掲示するパネルを設け、再生可能エネルギーの実習教材としています。体育館は避難所になることも想定し、冷えが和らぐ床材を選定するなど、学校が地域住民の「よりどころ」となることを目指しました。
兵庫県:尼崎市
主な用途:中学校
構造:RC造
階数:地上4階
延床面積:10,740m2